泌尿器科Q&A

Q.前立腺肥大症の診断は?

A.『国際前立腺症状スコア』(IPSS)にある症状は前立腺肥大症の典型的な症状ですが、症状だけから前立腺肥大症の正しい診断はできません。 それは、これらの症状が前立腺肥大症だけにみられるものではないからです。 したがって正しい診断のためには泌尿器科専門医の受診が必要です。

 実は前立腺肥大症をはじめとした排尿障害については、医療の進歩によっていろいろな事がわかってきました。 その中でも特記すべきことは、従来、前立腺肥大症と診断されて治療を受けてきた方の一部が、実は前立腺の肥大があまりなかったり、前立腺以外の原因による排尿障害が案外多かったということがわかってきたことです。

 ところが、患者さんひとりひとりの診療の中で、これらを正確に区別して適切な治療に結びつけるにはかなりの専門的経験が必要なため、通常の泌尿器科診療においては従来の診断治療のパターンが踏襲されているという現状があります 。

 もしあなたが、自分の排尿障害について、詳しい診断やこれまでより納得のいく説明を望んでいるのでしたら、泌尿器科医の中でも排尿障害の専門家のいるクリニックを受診することをおすすめします。

Q.どのような病気が前立腺肥大症と似た症状を表すのでしょうか?

A.代表的なものは、膀胱の機能低下です。
 膀胱機能低下の原因はいろいろありますが、加齢が主要な要因であることは確かです。 膀胱の機能低下による排尿障害は前立腺肥大症と似た症状を示すため、誤って前立腺肥大症として治療されることが多いのです。同じように前立腺肥大症と混同されやすいものには、糖尿病や脳・脊髄の病気や加齢性変化によって起こる排尿障害(神経因性膀胱)があります。

 特に最近では、脳梗塞による排尿障害の患者さんが増加しています。
 脳梗塞の患者さんは、後遺症があり通院が大変なため、症状があっても我慢している方が多いようですが、薬の治療でとてもよくなる場合がありますので希望を捨てないでください。

 脳梗塞の患者さんの排尿障害にはいくつかのパターンがあり、その患者さんに合わせたきめ細かな治療やアドバイスが必要となります。これについては当ホームページの神経因性膀胱の項にくわしく書きましたので参考にしてください。

 もしこのような、膀胱機能低下や脳梗塞などによる排尿障害の患者さんが、薬の効果が不十分というだけの理由で前立腺肥大症の手術を受けられたならば、期待した効果は得られないことが多いでしょう。

 1〜2週間入院し、前立腺を削る手術(TURP)をしたのにもかかわらず良い効果が得られなかったとしたら、後悔される方も少なくないことでしょう。

 前立腺肥大症の治療効果をあげるためにまず一番に重要なことは、あなたの病気がほんとうに前立腺肥大症なのかを、正しく診断することなのです。

 



泌尿器科診療と血液透析

泌尿器科診療では、特に前立腺肥大症の診断治療、女性尿失禁の診断と治療、投稿年の排尿障害の治療、血液検査、神経因性膀胱の治療、腎不全の治療、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌などの泌尿器科系癌の検診と治療コンサルタントなどに力を入れております。

血液透析は日中および夜間に行なっております。
すでに透析を導入されている患者さんでも、交通の便などから当院での透析治療を希望される方はご相談ください。